もともとは“砂糖も小麦粉も嫌い”でした

歳を重ねるにつれて、健康のたいせつさを実感し、またむやみに太りたくないという思いも手伝って、運動を増やし、食事もどんなものを食べるべきか、食べないべきかをよく調べるようになりました。その結果、飲むお酒の量が減り、砂糖や小麦粉も一時ほとんど摂らなくなりました。

そうすると体調は良くなり、体重も程よいものになっていき、理想の健康を体感するようになっていきました。しかし予想外の“弊害”が発生しました。それはソーシャルな楽しみの喪失でした。

砂糖も小麦粉も食べなくなると、友だちとの食事や外食が楽しめなくなってしまった……
(写真は我が家の探偵犬、ゾーイさん。内容にはあまり関係ありません……)

外食ができなくなってしまった

外食って、日常からちょっと離れて、そして友だちや恋人と一緒の時間を楽しめるとても素敵で不可欠と言っても良い文化です。しかし砂糖や小麦粉を摂らない生活になるとちょっとパスタを食べるだけでお腹をこわすようになってしまったんです。健康は大事です。でも外に出て素敵なお店で美味しいものを友だちと一緒に楽しむことだって同じくらい大事なことです。

身体と同じくらい心も大事

数年前に東京の代々木上原というところから鎌倉に引っ越しきました。夫は新天地を満喫していたのですが、わたしは新しい環境にすぐには馴染めず、ストレスにけっこうまいってしまい、すぐ泣いたり、寝込んだりしていました。

甘いものが元気をくれた

そんなときに、鎌倉でちょっと気になっていたパン屋さんやお菓子に行っていくつか甘いものを買ってみました。砂糖も小麦粉も普段そんなに食べているわけじゃないんですけど、小さな頃、母親に甘いものを与えてもらえると元気になった記憶も手伝って、元気がないときにはつい甘いものを食べたくなります。そして食べてみたら、わたしは不思議と元気になりました。『ドラゴンボール』の仙豆(せんず)みたいに。

このとき、わたしはようやく甘いものや小麦粉を肯定できるようなりました。いっぱい食べるわけじゃないし、でも食べると元気になる甘いものはわたしが生きていくには必要なもの。わたしみたいに生きていくために、前に進むために無理なく元気になりたいひとにも必要なはず。

だったらちょっと食べただけで元気にある甘いものを作りたい……。これがMinori Bakeを始めた理由です。